下郷町大内宿伝統的建造物群保存地区
下郷町大内宿伝統的建造物群保存地区の概要
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大内宿は、江戸時代に会津藩が会津五街道の一筋として整備した「下野街道(南山通り・会津西街道)」の主要宿駅のひとつです。若松城下から第三の宿駅で、荷役や人馬の継ぎ立てと宿場を経営するかたわら、高地での農業生産をする半宿半農の集落でした。
街道宿場としての形態を色濃く残す町並みとして、昭和56年4月18日、重要伝統的建造物群保存地区として国の選定を受けました。宿場を中心とした南北500メートル、東西200メートルの範囲にあり、旧街道の両側に44棟の主屋が立ち並んでいます。
(右は下野街道の概略図)
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町並みの代表的な特色
- 旧街道の両側にほぼ均等に割られた屋敷割(間口6~7間、奥行30~33間)と、街道から一定幅を後退して建てられている建築。
- 茅葺寄棟造りで妻を旧街道に面させる主屋の形態。
- 旧街道に面して二座敷を併置する旧宿駅住居の形態。
- 二座敷の表及びその前後を化粧樽木で飾る軒形式。
慶応4年(1868)の戊辰戦争で大内の近くでも激しい戦闘が行われましたが、幸い焼き討ちなどの戦火を免れました。
また、明治17年(1884)に会津三方道路のひとつとして、現在の国道121号が別ルートで開通したことから幹線道路からはずれ、かつての街道は人々の往来が無くなり、次第に忘れられた山間農村になりました。これらの要素が重なり、現在でも古い町並みが残っています。
「大内宿」の取組み
選定当初と近年の風景
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選定当初の大内宿
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近年の大内宿
修景した家の事例
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修景前
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修景後
昭和56年4月18日に重要伝統的建造物群保存地区に選定されて以来、国と県の指導のもと、町と地域の住民で様々な保存整備を実施してきました。
これまで茅屋根葺替など主屋の修理を中心に本陣の復元、街道沿いの電柱の移設、街道のアスファルト舗装の撤去など実施してきました。茅屋根葺替は毎年2棟から4棟行っており、トタンを剥がして、茅屋根に復原する家も順次出ており、また現代的な家を周囲の景観に合うよう改築した家も出てきています。
茅屋根の保存活動
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屋根葺替の風景
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茅刈りの風景
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屋根葺き練習の様子
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練習の成果を現場で実戦
茅屋根を保存していくため、大内の村人は自ら茅屋根葺替の練習を行い、若い人を中心に技術の伝承を行っています。また材料になる茅についても、村の周囲に茅場を保存し、材料の確保にも努めています。
更新日:2023年12月27日